福岡市議会民主・市民クラブ新こども病院解決（1）

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● 新こども病院建設にともなう課題の解決

（１）小児救急医療と周産期医療の充実、「小児医療空白」の解消

　アクセス時間だけを取り上げてセンセーショナルに報じられている小児救急医療の問題については、現在のこども病院の担っている役割と全市的救急医療体制の視点から冷静に判断すべきです。

　こども病院が担っている小児救急医療体制は、小児２次救急医療体制（小児２次救急医療は入院治療を必要とする重症の小児救急医療で、市内では九大病院、福大病院、九州医療センター、国立病院機構福岡病院、こども病院の５病院が担っています）です。

　生命の危機に関わる疾患や複数の診療科領域にわたる治療が必要な重篤な疾患に対応する小児３次救急医療体制は、救命救急センターである九大病院、福大病院、済生会福岡総合病院の３病院で、新こども病院では内科的な３次救急医療の機能充実をはかることになっています。

　また、「妊娠中の母子の診療拒否のたらい回しで悲惨な結果が報道されている」ハイリスク分娩（母体又は胎児・新生児におけるリスクの高い分娩）に対しては、周産期母子医療センター（母体・胎児集中治療管理室MFICUや産科病棟と新生児集中治療管理室NICUを含む新生児病棟を備え搬送受け入れ体制が整備された病院で、市内では九大病院、福大病院、九州医療センターの3カ所）で対応します。

　新こども病院に小児3次救急医療体制と周産期母子医療センター機能が整備されると福岡市全市での15分圏人口カバー率は、①小児2次救急医療体制では現在地に整備した場合の84.4%から89.7%に〈

図表５-１〉〈

図表５-２〉、②周産期母子医療センターでは75.2%から80.5%に上昇します〈

図表６-１〉〈

図表６-２〉。このように、新こども病院の増床と産科機能を付設する意義は、市内最大の人口を有する東区をカバーすることで市東部の小児医療環境を是正し、全市的な視点から小児医療のバランスを改善する効果が期待できます。　

　こども病院の機能特性から判断すると先天性心疾患や泌尿器疾患、整形外科疾患などで、また周産期医療では切迫早産や出生前の胎児疾患と診断された場合の母体などが中心ではないかと考えられ、時間的な緊急度は必ずしも高くはないと聞きます。時間的な緊急度が高いと判断される子癇や常位胎盤早期剥離、子宮破裂などは九大病院や福大病院、九州医療センターなど母体の診療体制の整った病院の周産期センターがその役割を担い、新こども病院の担うべき機能ではありません。

　これまで有していなかった、こども病院の周産期機能を向上するために、先月から九州大学病院総合周産期母子医療センターの医師（准教授）をこども病院の周産期診療企画部長として迎え入れることが実現し、周産期医療の体制づくりが着々と進んでいます。新病院で実施する周産期医療は、おもに胎児のハイリスク疾患を担うとされています。地域医療を含む現場医師のスキルアップや医療機器の技術革新の進展などにより、先天性異常等の出生前の判明率は急速に向上しており、現在、出生後におこなっている新生児搬送件数は減少するものと予想されています。また、搬送体制についても新病院にドクターカーを配置することなどにより、より充実した医療提供体制が実現されるものと考えます。

　そこで、こども病院の移転にともなう市西部地区の「小児医療空白」の解消についてです。高度な医療が必要とされる小児診療科（小児2次医療）を有する九州医療センターの常勤小児科医は6名で、同様に浜の町病院3名、福岡逓信病院2名、済生会福岡総合病院2名、福岡赤十字病院5名ですが、これら医療施設の病床稼働率は必ずしも高くはないと聞いており、「小児医療空白」解消に向けた条件は十分にあると考えます。

　すでに、同地区に在住する患者さんのための良質な医療環境を整えるうえでも、福岡市と九州医療センター等の周辺医療施設による受け皿づくり、協力体制を構築するための協議会が設置され、検討協議がスタートしているところでありますが、わたしたちは今後とも、新こども病院の医療機能の拡充はもとより、市西部地区の小児地域（2次）医療水準の維持確保に全力を尽くします。

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