2.フィンランドの教育施策
2.1.フィンランドの教育施策に関する評価
フィンランドは、人口およそ520万人の北欧の小国だが、同国の教育政策は、世界中の注目を集めている。そのきっかけは、経済協力開発機構(OECD)が2000年から3年に一度実施している学習到達度調査(PISA)の結果にある。
フィンランドは、過去3回のPISAにおいて、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」、「読解力」、「問題解決力」すべての分野でトップグループに入っており、特に読解力の高さは群を抜いている。また、習熟度の高いグループと低いグループの差がもっとも小さいことも注目される点の一つである。
一方、フィンランドは、世界経済フォーラム(WEF)が毎年実施している国際競争力調査においても、2001年に米国を抜いて世界一を記録するなど、教育を経済力に結びつける国策が成功している国としても認識されている。人口も少なく、資源にも恵まれない国情を反映して「人が最大の資源」と位置づけ、教育に力を入れることにより経済的な成功にも結び付けたフィンランドから、同様の事情を抱えるわが国が学ぶべき点は少なくないはずである。